俣野温子(マルチクリエイター)
俣野温子(またのあつこ)は、日本のマルチクリエーターです。
俣野は画家、作家としても著名ですが、最も日々の生活に馴染み、
日常を豊かにする日用品の商品企画もまた、俣野のクリエイターとしての表現方法のひとつです。
特にテキスタイルデザインは、シンプルな水玉模様から精緻な幾何学模様まで、
商品に合わせて描き下ろし、数々のテイストを使い分けます。
幼少期から手仕事に慣れ親しんだ俣野は、1979年に開店したギフトショップ「ぱんどらの箱」を開店。
1985年に雑貨メーカー「ら・むりーず」を立ち上げたのは必然でした。
1986年に立ち上げた企画デザイン会社「カボ企画」は、俣野温子の個人アトリエとして、
今も少数精鋭で、全ての商品ひとつひとつを丁寧に企画しています。
「La merise(ら・むりーず)」は、「cerise」(フランス語でさくらんぼ)に、
女性名詞の単数形につく冠詞「la」をつけた俣野の造語です。
ここにも「たったひとつの」という意味が込められています。
常に原点に戻りながら、お客様のために制作されるものつくりには長年のファンも多く、
その子、孫世代にわたり、幅広い年齢層のお客様に愛されて続けています。
- 1950年
- 東京目黒に生まれる
- 1953年
- 群馬県高崎市に移住
- 1979年
- ギフトショップ「ぱんどらの箱」開店
- 1985年
- 雑貨メーカー (有)ら・むり-ず設立
- 1986年
- 企画会社 (株)カボ企画設立
- 現在
- 東京都杉並区在住
デザイナーとしての仕事
「La merise」では自由な発想でオリジナル雑貨を制作。
ステーショナリー、陶磁器、木製品、生活雑貨、服飾雑貨 などの多岐にわたる商品を発売。
10年以上のロングセラーアイテムも珍しくありません。
百貨店向けのブランドとしてスタートした「Atsuko Matano」ブランドは、
様々なメーカーとのライセンス契約で商品企画を行っていますが、
俣野の場合、素材やパターン、それを使うお客様のイメージまでを全て考え、
それに合わせたテキスタイルをその都度描き下ろすため、
一般的な「ライセンス」のイメージとは異なり、
細部まで「ひとつひとつ丁寧に」俣野自身がクリエイトした商品が出来上がります。
このような丁寧なものづくりが、今日に至るATSUKO MATANOの世界を支えています。
商品は、パジャマ・タオル・エプロン・スリッパの他、様々な商品があり、
企画する商品点数は年間1000点を超えることもあります。
Atsuko Matanoは、2014年度のベストバイヤーズ賞を受賞しています。
業界紙である繊研新聞社主催で、全国の百貨店の商品バイヤーが厳正な審査によって選出するもので、
Atsuko Matanoはリビング部門のベストセラー賞3位に入選しました。
- 1984年(S59)〜
- 株式会社イソップ (カード・レター)
- 1986年(S60)〜
- 株式会社学研 (ステーショナリー)
- 1987年(S61)〜
- 株式会社ワコールファミリーウエア (キッズパジャマ)
- 1994年(H6)〜
- モリシタ株式会社 (寝具、枕)
- 1996年(H8)〜
- 一広株式会社(タオル)
- 1998年(H10)〜
- 株式会社エフパーク(現 タオル美術館)とマスターライセンス契約
- ニッコー販売株式会社(陶器)
- 伊藤忠ホームファッション
- 株式会社レヴァル(靴下)
- 株式会社サンライク
- 株式会社ムトウ
- 1999年(H11)〜
- 株式会社ワコールパーソナルウエア (婦人パジャマ)
- 2000年(H12)〜
- 株式会社タオル美術館とマスターライセンス契約(2017年に終了)
- 川辺株式会社(ハンカチ)
- 株式会社ロイネ
- 高島屋商事株式会社
- 2001年(H13)〜
- 株式会社アセット(スリッパ)
- 株式会社ミドリ(ステーショナリー)
- 2002年(H14)〜
- 前畑陶器株式会社
- 泰道リビング株式会社
- 2003年(H15)〜
- 株式会社サロンジェ(エプロン)
- リリカラ株式会社(カーテン・壁紙類)
- 2011年(H23)〜
- サンエース株式会社(手袋)
- 2013年(H25)〜
- 西川産業株式会社(現 西川株式会社)(寝具)
- 2015年(H27)〜
- アスワン株式会社(カーテン・ラグ)
- 2020年(R2)〜
- ブルーミング中西株式会社(ハンカチ)
- ※上記は一部です。サブライセンスも含みます。現在は終了しているライセンスもございます
俣野の生み出すキャラクターたち
俣野の描く世界には様々なキャラクターが登場します。
2012年に初登場した黒猫の「MEME」、手描きタッチがゆる可愛い「ゆるうさ」などが代表例です。
しかし俣野の場合、それらが単なるキャラクター商品としてひとり歩きすることはありません。
どのキャラクターも俣野の作品(商品も含む)の中にあって生きるものであり、
それは単なるキャラクタービジネスにおける「キャラクター」とは一線を画するものです。
また、俣野の描くキャラクターには必ず背景となる物語があります。
この動画は、MEMEの物語を映像にしたものです。(映像制作:俣野温子)
Atsuko Matanoの海外での評価
2013年、Atsuko Matanoブランドは、パリの見本市Maison et Objetに出展しました。
メゾンエオブシェへの出展は現在も行っており、ヨーロッパ各地からの注文も定着してきました。
2014年にはパリにヨーロッパ拠点となる「Atsuko Matano Gallery Paris」をオープンしました。
2015年には、ドイツで開催される世界最大のメッセであるアンビエンテに出展しました。
89カ国約4800社が出展(2015年当時)するメッセでは、初回の出展ではオーダーすら見込めないと言われる中、
順調にオーダーをいただいたという実績があります。
さらにAmbienteでは、2017年のエントリーで「Ambiente trend」に選出され、
その評価の高さを確実なものにしました。
Ambiente Trend 2017 紹介ムービー にも、Atsuko Matano商品が映っています。(1:40頃・2:20頃)
俣野のデザインはグローバルで、世界的に有名な雑誌
marie claireでも紹介されるなど、
海外でも高く評価されています。
- 2013年(H25)
- Paris Maison et Objet 出展(1月・9月)
- 2014年(H26)
- Atsuko Matano Gallery Paris オープン
- Paris Maison et Objet 出展(1月・9月)
- 2015年(H27)
- Paris Maison et Objet 出展(1月・9月)
- ドイツ Ambiente 出展
- 2016年(H28)
- Paris Maison et Objet 出展(1月・9月)
- 2017年(H29)
- Paris Maison et Objet 出展(1月・9月)
- ドイツ Ambiente 出展 (Ambienteトレンドに選出される)
- 2018年(H30)
- Paris Maison et Objet 出展(1月・9月)
- 2019年(H31・R1)
- Paris Maison et Objet 出展(1月・9月)
- 2020年(R2)
- Paris Maison et Objet 出展(1月・9月)
- 2021年(R3)
- Paris Maison et Objet 出展(1月・9月)
タオルアートの世界
俣野は2000年に、愛媛県今治市にある「タオル美術館」の立ち上げに参加しました。
タオルを実用品ではなくアートとして楽しむことをコンセプトに、
268.5坪の常設ブースでは、世界初のタオルアートを多数発表しました。
タオルアートとは、タオルを素材として使用したまったく新しい作品です。
一見平面的な絵画のようで、近づいて見るとタオルを丸めてビーズ状にしたものなどが敷き詰められている作品は、
「タオルビーズ」と呼ばれるタオルの球体を俣野が発注し、数万個を用意し制作したものです。
また、美術館の長い廊下には、タオルで織られた40メートルの大作が飾られました。
そのアイデアも俣野の発案ですが、量産品を主に製造するタオル織機でこのような長い図案を織るのは世界初といえます。
※常設展は2018年4月に終了/リンクに関連記事
- 2000年(H12)
- 今治「タオル美術館」プロデュース及び常設ギャラリー設立(作品数:135点)
- 2001年(H13)
- 「タオル美術館」リニューアル/「イエローツリー」「お姫さま物語」発表
- 2003年(H15)
- タオル絵本「大きな鳥」発表
- 2005年(H17)
- 「そうぞうしてごらん」「すてきなプレゼント」発表
- 40メートルのタオル「幸せな旅」発表
- 2006年(H18)
- 「心の引き出しをあけてみたら」発表
- 2007年(H19)
- 「プレゼントボックス」発表
- 2008年(H20)
- 「タオル美術館」リニューアル/「緑の街が私を育てた」「眠るカラス」発表
- 2009年(H21)
- 「私の心の中に住む沢山のピエロたち」「海の住処」「空を見て想うこと」「私の街」他、タオル作品40点発表
「絵」と「言葉」と「音楽」の融合
俣野は、1999年頃から、プロジェクターを使ったリーディングコンサートをはじめました。
舞台の構成の考案、脚本の執筆、オリジナルの歌の作詞作曲も行っています。
クラシック・日本歌曲・ハードロックなど・・・それぞれのジャンルで活躍している人たちとのステージも手がけました。
プロジェクターでは、俣野が制作した映像を、音楽に合わせて映し出しました。
映像は、油彩やペン画、デジタル図案などを組み合わせ、独自の感性による全く新しい方法で制作されました。
「絵」と「言葉」と「音楽」が融合した世界は、俣野の世界観を最も深く味わえるものです。
- 1998年(H10)
- 渋谷電力館「絵本を描きたい人のために」
- 1999年(H11)
- 高崎シティギャラリー・コアホールにて「ちょっと切ない俣野温子の世界」
- 2003年(H15)
- 高崎市民文化ホール「木村治代リサイタル」
- 2008年(H20)
- 高崎シティギャラリー・コアホールにて「絵から生まれる物語」
- YAMAHA 原宿EX’REALMイベントスペースにて「クリスマスには奇跡が起こる」
- 絵から生まれる物語 DVD
- 2009年(H21)
- 愛媛県タオル美術館にて「だから歌がある」
- YAMAHAオリジナルグッズ
- 2012年(H24)
- 松江ザ・サードプレイス ライブ映像・脚本・朗読「今様伝説」
- ヤマハ銀座スタジオ「新・今様伝説」
アーティストとしての活動
ブランド立ち上げ以前から、作家として活動していた俣野は、個展も多数行っていました。
商品企画をメインに行うようになってからは、各社の展示会や百貨店などで行われるイベントが、
俣野の作品発表の場となりました。
全国のイベントは規模の大小を問わず多数あり、必ずどこかでAtsuko Matanoのイベントをやっているような時期もありました。
- 1980年(S55)
- 新宿 QUI
- 1985年(S60)
- 新宿 TOPS GALLERY「ようこそ 会いたかった!」
- 1990年(H2)
- 銀座三越 年中夢中展
- 1991年(H3)
- 小田急百貨店『羽子板展』参加
- 1993年(H5)
- 有楽町阪急 猫想い展
- 1994年(H6)
- 有楽町阪急 いじわるうさぎとしゃまねこ展
- 1997年(H9)
- 松戸伊勢丹特選ギャラリー 私という名の猫
- 大阪天保山現代館 俣野温子の世界
- 多摩そごう美術画廊 STORY ABOUT CATS
- 1998年(H10)
- 浦和伊勢丹特選ギャラリー 私という名の猫
- 池袋東武百貨店 ミニサロン LOVE
- 松戸伊勢丹特選ギャラリー LOVE
- 1999年(H11)
- 高崎シティ・ギャラリー 俣野温子の世界展
- 2005年(H17)
- 伊勢丹相模原店 小さな絵本の大きな原画展
- 2008年(H20)
- 高崎シティ・ギャラリー 俣野温子の世界展vol.2
- 2012年(H24)
- 松江カラコロ工房 Atsuko Matano Towel Art 展
- 2013年(H25)
- 三越日本橋 For My Dear マタノアツコの世界展
- 2015年(H27)
- IFF(インターナショナル・ファッション・フェアー) Atsuko Matano 10社合同出展
- 大阪ルクア Atsuko Matano Collection
- 2017年(H29)
- 山形屋 Atsuko Matanoのハッピーデザイン展
- ※上記は一部です。
カタログ通販の仕事
千趣会やディノスなどのカタログ通販業界でも俣野の商品は注目されました。
特に千趣会では「俣野温子の世界」という別冊カタログが何冊も発行されました。
- 1998年(H10)
- プチディノス表紙
- 1999年(H11)
- プチディノス表紙
- 2000年(H12)
- プチディノス表紙
- 2001年(H13)
- プチディノス表紙
- 2002年(H14)
- 千趣会Monthly club別冊「俣野温子の世界」発行
- 2004年(H16)
- 千趣会Monthly club別冊「俣野温子の世界」発行
- 2005年(H17)
- 千趣会Monthly club別冊「俣野温子の世界」発行
- 2006年(H18)
- 千趣会Monthly club別冊「俣野温子の世界」発行
- 2007年(H19)
- 千趣会Monthly club別冊「俣野温子の世界」発行
高崎市とのかかわり
群馬県高崎市にゆかりのある俣野は、群馬県との関わりも大切にしており、
「高崎もてなし大使」にも任命されています。
群馬交響楽団との関わりも古く、オリジナルグッズの制作等も行っています。
- 1999年(H11)
- 高崎シティ・ギャラリー 俣野温子の世界展
- 2001年(H13)
- 群馬交響楽団オリジナルグッズ
- 2006年(H18)
- 群馬交響楽団60周年オリジナルグッズ
- 2008年(H20)
- 高崎シティ・ギャラリー 俣野温子の世界展vol.2
- 群馬県ミュージック高崎ジャパン ロゴマーク
- 2020年(R2)
- 群馬交響楽団75周年オリジナルグッズ
広告デザイン
現在は商品企画がメインになっていますが、広告デザイン等の仕事も多く行ってきました。
企業カレンダーや、ダンキンドーナツのノベルティなども手掛け、現在はプレミアがついているグッズも多くあります。
- 1990年(H2)
- 日立家電カレンダー
- 1991年(H3)
- ケーキ パッケージデザイン
- ダンキンドーナツ株式会社 吉野家ディーアンドジー
赤毛のアンをテーマに、テレビCMキャラクターデザインや、プレミアムグッズ・パッケージ等を手がける。 - 1992年(H4)
- ケーキ パッケージデザイン
- ダンキンドーナツ株式会社 吉野家ディーアンドジー
- 1993年(H5)
- ダンキンドーナツ株式会社 吉野家ディーアンドジー
- 1995年(H7)
- 日立家電カレンダー
- 月刊日立ファミリージョイ表紙
- 日立ママノート
- 1996年(H8)
- セキスイホームカレンダー
- 月刊日立ファミリージョイ表紙
- 日立ママノート
- 1997年(H9)
- 日立ママノート
- 1998年(H10)
- 日立ママノート
- 1999年(H11)
- カルピスカレンダー
- 2000年(H12)
- カルピスカレンダー
- カルピスからの贈り物(童話集のパッケージ及びナレーション)
- 近鉄百貨店 広告
(ポスター・看板・お中元・お歳暮などの表紙
新聞広告のイラスト、バレンタインのパッケージ等。) - 2001年(H13)
- 近鉄百貨店 広告
- 2002年(H14)
- カルピスキッズプレミアムグッズ
著作
絵本作家としても著名な俣野ですが、特にメッセージブックについてはその分野の先駆者です。
実用書・絵本・詩画集・児童向け著書など40冊以上の出版物があります。
- 1985年(S60)
- わたしの赤ちゃん日記[主婦の友社]
- 1986年(S61)
- わたしのクッキングブック[主婦の友社]
- インスピレーション・プレゼントの本[文化出版局]
- 1987年(S62)
- インスピレーション・クッキングの本[文化出版局]
- わたしのブライダル・メモリー[主婦の友社]
- 1988年(S63)
- タッジーマッジーってなに?[文化出版局]
- 数の絵本[主婦の友社]
- 文字の絵本[主婦の友社]
- 1991年(H3)
- わたしのマタニティ・ダイアリー[主婦の友社]
- わたしのダイアリー[主婦の友社]
- 1993年(H5)
- 音楽[カボ企画]
- 1994年(H6)
- やさしいこころにはひびがはいっている[ほるぷ出版]
- みじかくてながいおはなし[ほるぷ出版]
- ぶたのツゥイギー(1 ドキドキ・2ハラハラ・3ワクワク)[ほるぷ出版]
- 私の赤ちゃん三年日記[主婦の友社]
- いじわるうさぎの絵本[ほるぷ出版]
- いじわるうさぎの日記[ほるぷ出版]
- 1995年(H7)
- じゃじゃ馬[翔泳社]
- さんぽ[翔泳社]
- むずかしいものなんかいらない[ほるぷ出版]
- かなしいときはかなしいままがいい[ほるぷ出版]
- 1996年(H8)
- いじわるうさぎの正体[ほるぷ出版]
- やきもちやきの猫[ほるぷ出版]
- 不思議な猫の本[主婦の友社]
- 1997年(H9)
- 猫だけが知っている[ほるぷ出版]
- 1998年(H10)
- さびしくてたまらないときのために[大和書房]
- かなしいときはかなしいままがいい[角川春樹事務所 文庫化]
- 思い出が真夜中に降ってきたら[角川春樹事務所 文庫化]
- 2000年(H12)
- なみだは海につづいている[大和書房]
- 2001年(H13)
- ねむれない夜のために[大和書房]
- 2002年(H14)
- LOST LOVE[佼正出版社]
- 育児に疲れを感じたら[海竜社]
- きっとなにかが変わるはず[廣済堂]
- 2003年(H15)
- My Baby's Diary[海竜社]
- 2004年(H16)
- 泣きたいほど青い空[廣済堂]
- すてきなプレゼント[文溪堂]
- 2005年(H17)
- そうぞうしてごらん[文溪堂]
- 2007年(H19)
- MY DOG'S DIARY[主婦の友社]
- MY CAT'S DIARY[主婦の友社]